
3回に渡ってお送りする、パシフィックに通う“学生さん”にフォーカスしたインタビュー企画。前回記事「自分の興味を追求する高校3年生アユム君。いざカナダへ!」はコチラ!
第2弾のお相手は立教大学2年のカナエさん。大学では福祉を専攻しており、パシフィックのレッスン中も社会問題や時事問題に関するディスカッションを積極的に行っています。高校時代はアメリカに留学した経歴もあり、そのことはもちろん、彼女がネット上で展開する情報発信の活動についても聞いてみました。
——パシフィックに最初に来た時のことを教えてください。
高1の9月くらいに初めて来たんですけど、当時ほんっとに英語ができなくて、やるのが苦しいみたいな。これじゃあ無理ってなり、個別で手厚く見てもらわないとって。
——だから大手より小規模の教室を探したんですね。
うん。当時の(パシフィックの)ウェブサイトでは合格実績とか結構あげてたじゃないですか。だから親身になって教えてくれるんだろうと思って。体験レッスンに来たら、先生がめちゃめちゃ話してくれて。
カナエさんは高校3年の夏から翌年の6月まで、日本国際生活体験協会(EIL)が実施する高校生向けの交換留学プログラムを利用し、アメリカの高校に通いました。もともと英語は好きでなかったということですが、どうして高校留学に挑んだのか、聞いてみました。
——その後、高校留学をされますよね。そのきっかけは?
もともと海外のいろんなものを自分の目で見たいっていう欲が強かった。ニュースでストリートチルドレンとか見るけど、実際どうなの?みたいな。テレビで見るだけじゃ満足できないというか。そしたら高校の先生が紹介してくれたプログラムで1週間くらいフィリピンに行くことになって、ボランティアしに行ったんですけど、その経験も高校留学へのモチベーションに繋がりました。
——大学で留学する人はまあまあいますけど、高校で長期留学って勇気要りますよね。
でも、どうしても高校で留学したかった。
——どこへ行ったんでしたっけ。
ノースカロライナ州です。
——実際に行ってみてどうでしたか。
いろんなことを経験できたし、自分の目で見ることができたかな。英語っていうよりは、人間的な面でいろんな成長に繋がったかなって思います。
——語学面じゃないところでの成長って良いですね。
一緒に行った人たちは英語が好きで行くって人が圧倒的に多くて、私みたいに英語がどちらかというと得意じゃないし好きじゃないって子は少なかったですね。でも私が留学で学びたかったことは語学じゃなかったから。
——これは絶対日本では経験できなかったなっていうエピソードってありますか。
えー、たくさん(笑)
——少し教えてほしいです。
例えば、LGBTQの人々と触れ合うとか。友達にもいたし、当たり前にその人たちが生活していて、周りもそれを当たり前に受け止めていたっていうのとか。なんか(日本で)高校生活してる中でそういう風な人たちに触れ合うことってなかったし、カミングアウトしてる子もいなかったし。
——なるほど。
クラスメイトが本当はエマっていう子なんだけど、「アレックスって呼んで」 って言われて、それを先生も周りも容認してて。その子が女子トイレを使わないのも周りは何も言わないけど、日本だったらめちゃくちゃ叩かれちゃいそうだなって。
——日本でもあるんだとは思うけど、まだまだ課題がありますよね。他には?
人種の違いみたいなものは、やっぱ一番感じたかな。日本に住んでると接する多くの人は日本人だけど、向こうにはメキシコからの移民の子もいれば、仲良くなった子はシリアから弾圧されてきちゃった子で、バックグランドもばらばら。ノースカロライナっていう土地自体が結構、流民の土地じゃないけど、出身が違う子がいっぱいいた。それこそ私のホストファミリーもアリゾナ州からノースカロライナに移ってきた家族だったし。いろんな意味でミックスしてた。
——留学中苦労したことはありますか。
言葉は苦労したかな。ジョークが分からなくてみんなと一緒に笑えないとか、疎外感ではないけど、笑いたいじゃないですか。きっと面白いことが起こってるんだから。でもそれを理解できないのがつらかったです。なんで笑ってるんだろうみたいな。
——最終的には分かるようになりましたか。
行って3ヶ月くらいは本当に成長しなくて、みんなが言ってることもあんまり分からないし。で、その時くらいから「フルハウス」をホストブラザーと一緒に見始めて、そこから急にいろんなことが耳にうまく入ってくるようになったっていうか、理解できることが増えてきた。
——うんうん。留学すれば喋れるようになるって思ってる人多いけど、やっぱそうではないですよね。現地でも努力が必要。
うん。勝手に英語力がつくっていうのは違うって、その時めっちゃ思いました。テキストで習ったフレーズとか、全然みんな言ってくれないから(笑)

現在は立教大学のコミュニティ福祉学部・福祉学科で勉強中のカナエさん。勉強したことをもとに、インターネットやSNSで情報を発信する活動もされています。彼女の強い原動力はどこから来るのでしょうか。
——それで帰国して、 今は関東の大学で福祉を専攻していると思うんですが、どうしてこのタイミングでこの教室に戻ってきたのですか。
春にコロナで大学の授業がオンラインになってしまったので、今は浜松に帰ってきています。あと、前学期は大学で英語の授業を取れてたけど、今学期は福祉の授業と被ってしまって取れなくて。
——なるほど、コロナで帰省して、物理的にも来れるようになったと。それでは福祉のことについても聞きたいのですが、福祉を学び始めたきっかけから教えてください。
小さい頃保育士になりたかったんですけど、保育園で働くのだけが子供と接する仕事じゃないなって気づいて。それに保育園の子どもたちは6年で次の期間に旅立っちゃうじゃないですか。でももっと長いスパンで見る必要がある子どもがいっぱいいるっていうのを知った時に、私はそっちの方が興味があるなって思って。
——長いスパンで見なきゃいけない子どもって、もう少し具体的に言うと?
例えば、虐待の被害を受けている子どもとか。児童養護施設の存在を知って、保育士になるより児童養護施設の職員になりたいと思い始めて。そのためにはどうすれば良いか調べたら、社会福祉士っていうのに繋がって。そしたら社会福祉士ってすっごい幅広く扱ってて、それが自分の興味にあってたというか。
——簡単に言えないと思うんですが、社会福祉士ってどういう仕事なんですか。
社会からはじき飛ばされちゃってる人たちを支援する仕事ですかね。虐待もそうだし、高齢者の問題とか、生活保護とか、子育て支援って言うんですかね。貧困とかシングルペアレントもあるし。母親教室とか父親教室見みたいのあるじゃないですか。あれも福祉の分野なので、すっごい幅広い。
——とても興味深いです。それを勉強して、その知識を使って将来はどういうことをしたいですか。
まだ具体像みたいなのはないんですけど、若い子たちに福祉に興味を持ってもらったり、知ってもらったりしたい。絶対そういうのに興味持ってくれる人っているはずなんです。保育士とか看護師が人気あるのと同じように。でも社会福祉っていう仕事は社会的認知度が低いから。
——じゃあ、Awareness raising(認知向上)みたいなところかな。
そうですね。若い世代が考えていかないといけないから。そういう発信をしたいと思ってます。一大学生が気になる福祉のこととか。授業でインプットするけど、アウトプットしていかないと抜けてっちゃうので。自分のためにもやりたいなって。

——具体的にどんな内容の発信を考えていますか。
年金制度の話とか。貧困の問題とかもやりたいし。人があんまり触れないところに触れていきたいです。
——なるほど。社会の問題ですから、知らなくて良い人っていないですもんね。
そうなんです。最近Period Poverty(生理の貧困)って問題があって、スコットランドで生理用品が無料で学生に配られるっていうのが、確か今年(2020年)1月に可決されて。そういう情報も、知らないより知ってた方が良い。
(※スコットランド議会は2020年11月24日、生理用品を無料提供する法案を全会一致で可決した。新たな法制度のもとで政府は、全ての学校や大学のトイレに、生理用品をストックすることを義務づけ、必要とする人々に無償提供していくことになる。)
——今後の活動がとても楽しみです。今後の展望に、英語も絡めていけそうですか。
はい。英語があるだけで自分の知識が広がる気がする。今老人ホームで働いていると、海外の老人ホームはどうなんだろうとか、思ったりするんですね。実際ちょっと働いてみても良いし。
——実際海外に行ってってこと?
うん。それに福祉の分野で英語やってる人ってきっと少ないから、日本にいたとしても違う視点で作れる分野があると思う。私が英語ができることってきっと役に立つ時が来るんじゃないかなと思う。
最後にもう一度、カナエさんの英語学習に対する考えを聞いてみました。
——じゃぁ、英語学習はこれからも続けていきますか。
うん。英語は続けたいし、会話ができる程度にはちゃんと保っていたいと思う。
——素晴らしいです。語学って習得して終わりだと思ってる人多いんですけど、残念ながら落ちてもいくんですよね、続けてないと。
そう。大変ですよね。話す機会を作らないといけないですし。でも最近はオンラインもあるから、そういうツールを使って喋ることもできるし。
——意外と日本でできることって多いですよね。
うん。ここ(パシフィック)に来てる子たちって、留学してなくてもすっごい英語が上手な子が多かったんですよ。一緒に来てた子も、一回も海外行ったことないって言ってたのに本当に綺麗に喋ってて。すごいなって。本人の努力もあるし、この教室の力でもあるんだろうなって。
——ありがとうございます。カナエさんも結構、むしろ帰国後に勉強したってとこもありますよね。大学の受験勉強とか。
うん。留学してた時よりも勉強したから、マジでその状態で留学行ってたらめっちゃ喋れたし、めっちゃ理解できたんだろうなって思う。留学中に知らなかった単語とか、めっちゃいっぱい覚えたし。
——そう。受験英語って侮れないんです。せっかくそんなに勉強したんだから使おうよって。受験英語通った人はちょっとの実践練習で本当に喋れるようになります。
絶対そうだと思う。受験の英語だけで終わっちゃうのはもったいない。だって単語帳まるまる1冊暗記したりするじゃないですか。
——最後になりますが、これから英語勉強したり、留学したりって人たちに何かアドバイスするとしたらなんて言いますか。
楽しんだもの勝ちだと思います。なんかそれを辛いと思っちゃったらほんとに辛いし。私も高校生の時、英語やるの辛かったし。なにこれ楽しくないみたいな(笑)。なんも意味わかんないみたいな。文章バッて渡されてそれを解けみたいな。もう地獄(笑)。でも英語を使えることによって楽しいことをちょっとでも経験したら、楽しくなっちゃうんじゃないかなって思います。使えたー!っていう成功体験。それがあったらめちゃくちゃ意欲に繋がると思います。
取材日時:2020年12月03日
会場:Any-エニィ- 、英会話のパシフィック